「話があるんだ」

彼からそう言われた時には、もうなんとなくわかっていたのかもしれない。







「気をつけて、ね」

夏の終わり。

駅のホーム。

意外と少ない荷物をまとめた、彼。

これだけしか、言わなかった。

言えなかったんだ。

胸に溢れている想い。

離れたくない

涙がこの気持ちを代弁してしまいそうで、

最後なのに、彼を困らせたくなかった。



サヨナラ、は彼も言わなかった。