「話があるんだ」 彼からそう言われた時には、もうなんとなくわかっていたのかもしれない。 ◇ 「気をつけて、ね」 夏の終わり。 駅のホーム。 意外と少ない荷物をまとめた、彼。 これだけしか、言わなかった。 言えなかったんだ。 胸に溢れている想い。 離れたくない 涙がこの気持ちを代弁してしまいそうで、 最後なのに、彼を困らせたくなかった。 サヨナラ、は彼も言わなかった。