鞄をもって階段を駆け降りる。
急がなきゃ
急がなきゃ
その言葉だけで頭の中が埋まっていく。
途中、足が絡みつまずきそうになりながらも1階の廊下まできた。
すぐ左側にある居間のテーブルの上に食パンが見えたけど朝食を食べている暇は無い。
一直線に玄関へ進み自転車の鍵を取って靴を履くと走って外へ飛び出した。
でも鍵をかけなきゃいけない。
家は朝が来る頃には私1人になり、一言、
「行ってきます」
と言って飛び出すわけにはいかない。
飛び出しても鍵をかけなければいけないのだ。
家に人がいれば遅刻しないかもしれないのに・・・
そんな甘い考えを振り払い鍵をかけると自転車にまたがった。
