「ま、今は何か分からなくてもそのうち分かるんじゃないか?悩んでても仕方ない問題だろ?
さ!リビングにでも行ってテレビ見ようぜ。」


俺は結局かけてやれる言葉が見つからないままそう言った。

彩音も納得はしていない様子だったが、悩んでても仕方ないという点には賛同したらしく、ソファーから飛び降りるようにして立ち上がった。


「そだね!もうすぐご飯だし行こう!」


笑顔で言った彩音と共にリビングに行った俺は、いつもと同じようにテレビの前でビールの缶を開けた。


「まーたビールばっかり飲んで!太るわよ!?」


これまたいつものように忍にしかられた。


「いいんだよ!いつもと変わらない日常が一番幸せなのさ。お前も飲むか?」


俺は軽口を言いながら再びビールに口を付けた。

忍はまだ何か言いたそうだったが、夕食を並べる方を優先したようだった。

何事もない普通の幸せ、それを誰よりも望んでいた奴が居たような気がした…。


「あ!しーちゃんまた四人分ご飯作ってる〜。」

「え?あ…ごめん彩音ボーっとしてたみたい。後で片付けるから置いといて。先に食べよ?」


そう言って二人が席に着いた時、玄関の鍵が開く音が聞こえた。