「お前等らしくないんじゃねーか?泣いてたってどうにもなりゃしねーよ。」


「他に言うこと無いの!?透は帰ってこれなくなったのよ!?」


忍は怒りの表情で沙綺に怒鳴り返した。

しかし沙綺は真顔で海を見つめてこう言った。


「馬鹿言ってんのはお前の方だ。…あいつは必ず帰ってくる。」


その力強い言葉を聞いた忍と彩音はピタリと動きを止めた。

諦めたら終わり。そう今まで教えてくれた透の帰りを信じない…それは諦めているという事だからだ。

忍と彩音は涙を拭いて立ち上がった。


そんな寄り添う二人を見つめた元は、前鬼達に向かって声をかけた。


「ワシには分かる。まだ透達は消滅してはおらん。…そうじゃろ?」


「ご名答…お頭はまだ消えちゃいない。俺達がこの姿でいるのが何よりの証拠だ。ただ、勝ったかどうかは分からない…。」


元の問い掛けに答えた前鬼は、酒呑童子の霊圧を探ろうと試みていたのだ。
…結果は得られなかったが。