「…けないんだから…アイツは…。」


忍は地面を叩きながら何かを呟いている。
幹矢は忍の肩に手を置いて片膝を着いた。


「忍…立てるかい?」


「アイツは、そう簡単に負けないんだから!そうでしょ!?不動さん!」


顔を上げた忍は泣いて赤く腫らした目で必死に訴えかけた。
しかし幹矢には、瞳の奥に隠れた信じたくないという怯えの色がハッキリと見えていた…。


「そうだね、透は強い。僕も負けないと信じているよ。」


その答えを聞いた忍は、顔を曇らせて肩を落とした。


「ありがとう‥嘘でもそう言ってくれて…。」


「………………。」


幹矢は本心を見抜かれて返す言葉が見つからなかった。


「よう!シケた顔してんなぁ!?なにメソメソ泣いてんだ?」


そこに沙綺と御影が帰ってきた。御影はヨロヨロと立ち上がろうとしている命に肩を貸している。

元は前鬼・後鬼と共に天岩戸が有った場所をじっと見つめ続けていた…。