「っく…。」


透は光に目を閉じながら扉の中へ飛び込んだのだが、以外としっかりした足場に驚いて目を開けた。


「ここは…?」


『あの世…だろうな一応。』


目の前には何もない真っ白い景色しかない。建物があるわけでもなく、ただ真っ白い空間に透は立っていた。

思わず声に出して呟いた言葉に、酒呑童子もハッキリとは答えられないようだ…。


そしてそれほど遠くない先に、スサノオがこちらに背を向けて立っていた。


「スサノオ!」


透はその静かな立ち姿に何故かプレッシャーを感じて近付けずにいた。


「ここまで追って来るとは…人間はどこまで執念深いのだ…。
神聖なる神の領域にふさわしくないゴミめが。」


そう言いながら振り返ったスサノオの瞳は背筋が凍るほどに冷たかった。


「お前がアマテラスの説得に失敗するザマを笑うためさ!」


透は精一杯の強がりを言いつつ額の汗を拭った。


『坊主、ここまで来ちまったら後はどうなるかわからねぇ。一瞬で消されても文句言うなよ!』


(ハナから生きて帰れると思ってねーよ!)


正直何をしたらいいのか見当は付いて無いが、今は戦うより静観した方がいいと透は考えていた。