「あ…姉御は霊力を俺に送りながら目を閉じてくだせえ!
俺の方から姉御の意識を引っ張るんで逆らわないように!いいっすか!?」


前鬼の説明が終わる頃には準備をあっさり終えていた忍は、返事をする事なく瞳を閉じた。


巻物へと注いでいた霊力が前鬼へと続いているのを感じる…。


さらに意識を集中していると、前鬼からグイッと意識を引っ張られるのを感じた!

まるで急発進した自動車に乗ったようなめまいが起き、気がつくと薙刀を持つ逞しい腕が見えてきた!


『いらっしゃい姉御!』

「前鬼!?どこから話してるの!?」


『意識の中での会話だよ、今は姉御と意識を共有してるからな!
形的には姉御が俺自身でもある。
…望んでた形とは少し違うかもしれないが、姉御の意志で俺の力を使える状態ってわけさ!それで何がしたいんだ!?』


「弓!アンタが私なら扱えるはずよ!!
射てみて分かったけど、アレは普通の弓を射る物じゃない!アンタも感じてみて?」


忍は目を閉じて立つ自分の体から弓を取ると、前鬼からの反応を待った。


『姉御…コイツは召喚士の武器じゃねえよ。直接霊力で武器を強化させて戦うタイプの術者の武器だ。
晴明の旦那みたいに何でも出来る奴以外には厳しいぜ。』