神楽幻想奇話〜荒神の巻〜

「すまぬ!ワシが最後の望みと考えたのが間違いじゃった!
まさかこんな形で彼も来てしまうとは…。」


元は愕然と膝をついて後悔した。
しかし、このままでは幹矢を無駄死にさせてしまうのは明白だった。


「…分かりました、俺が道を開きます!水嶋様は不動さんの解放に向かって下さい!」


沙綺はキッ!と顔を上げると、元の肩に手を置いて力強く言った。

その言葉に、元は顔を上げて首を横に振った。


「無茶を言うでない!ワシが着くまで護りながら戦うと言うのか!相手は風神じゃぞ!?」


「解ってます!でもそれくらいの時間稼ぎくらいできるはずです!さぁ、早く!」


沙綺はそれだけ言うと、自分の前に符陣を貼った。
符術士最強の技…滅魔結界符術の陣を。


「…沙綺…。わかった、ワシがまいた種じゃ。必ず彼を元に戻してみせる。」


「頼みましたよ!」


元は背中越しに返事をした沙綺へ一つ頷くと、地面に手を着き、妖を召喚した。


「お前の移動なら狙いはつけれまい…出でよ、蛇女!」


その呼びかけに応えるように地面が光り、姿を現せた蛇女の背に元は飛び乗った!


「後ろは任せたぞ沙綺!」


元がすぐさま移動を開始した時、沙綺は黙ったまま親指を立てた。


「…オーライ。やってやるぜ!」