神楽幻想奇話〜荒神の巻〜

『そうだ!沙綺、彼が居るなら可能かもしれない!』


「彼?誰の事です?」


沙綺は式神を通してても分かるくらいに不思議そうな声で聞き返した。


『不動君だよ!彼が来たんだ!』


沙綺はその言葉に驚いた!
出雲で別れたはずの幹矢が居る。しかも外界から切り離された結界の中に…、意味が分からない。


『詳しくは僕にも分からないが、忍が月読を召喚した時に二人で現れたんだよ!彼が居るなら結界を解いても透を行かせることが出来るはずだ!』


「よし、じゃあ今すぐ…。」


沙綺が御影に答えようとした時、隣で聞いていた元がそれを止めた。


「それはならん。今の彼は戦闘力など無いのだ…。」


「水嶋様!?それはどういう意味です!?不動さんはかなり頼りになるの知っているでしょう!?」


元はそう語りかけた沙綺に申し訳なさそうに首を振った。


「詳しくは話せん、ワシのわがままなんじゃ。
今の彼はワシの召喚獣によって封印されとる。
ワシが死ぬか直接解かなければそこから出れんのだ…。」


「そんな!何故そんなことしたんですか!それを解くためとはいえ、あそこまで行くなんて風神が居る以上自殺行為でしかありません!」


沙綺は元の告白に目を見開いて戸惑っていた。