神楽幻想奇話〜荒神の巻〜

(チッ!風神相手に符術を使っても効果は無い、そもそも届かないなら話にもならねえ!
…滅魔結界符術なら少しはいけそうだが、このままじゃ符陣を貼る暇すらない。どうする?)


沙綺は後ろに控えていた元の横へと駆け寄り、二人を包む符術結界を張った。


「水嶋様、このままじゃ時間の問題です!向こうにいる神楽達を呼んでも対応出来る奴が居ません!」


そう叫ぶ沙綺に、元は渋い表情でコクリと頷き返した。


「わかっとる…。ワシの契約召喚獣でも相手にならんじゃろう。」


「何かいい方法はないんですか?」


必死に問いかける沙綺を、元は優しげな瞳で見つめていた。


「この戦いにワシ等の勝ちは無い。しかし透がスサノオの野望を止める事が出来たならば、少なくとも世界は救われる。
…沙綺よ、友を信じて命を張れるか?」


沙綺は自分が居る意味を再び認識した。

仲間達が逃げずに戦っているのに、自分は相手が悪いと決め付けて弱気になっていた。


(ここは俺達に任せろなんて言っておいて、このざまじゃ御影さんに笑われちまうな…。)


「そうだよな…一度失って御館様に拾われた命、次は俺が誰かに使う番だ!」


沙綺は元に決意を告げ、式神を仲間の元へと放った。