神楽幻想奇話〜荒神の巻〜

その瞬間、忍が右手を透へと延ばして叫んだ!


「助けて月姉ぇえ!!」


忍は前鬼達が気付くよりも早くに馬頭の目的を悟っていた!

その時とっさに考えたのは、先程チラリと頭をよぎった月読の姿だった。
間に合うか間に合わないかギリギリの時間の中、忍が選んだ道は、初の詠唱破棄召喚術だった!


この術は熟練した術者でなければ成功が難しく、忍の知る限り可能な者は「水嶋 元」ただ一人…。


忍は自分の術が失敗したと感じて目を堅く閉じた。
ナイフの刺さった透の背中は見たくなかったからだ。


しかし、聞こえてきたのは透の悲鳴とは全く違う声だった。


「ひのふ!もっほまひなよひかたへんか!」


誰かの怒る声に懐かしさを覚えた忍は恐る恐る目を開けた。


するとそこにいたのは茶碗を片手に、口でナイフを受け止めた月読の姿だった!

なぜか幹矢まで一緒に居たが、ナイフの軌道上に居たためか月読に頭を踏まれて地面に顔を沈めていた。


「月姉ぇ!」


「バッカモン!せっかく好物のサンマがおかずだったのに、出てきたのはナイフでがっかりじゃ!!
詠唱破棄召喚などするから余計な幹矢まで連れて来とるじゃないか!」