神楽幻想奇話〜荒神の巻〜

その周囲の変化に最初に気が付いたのは牛頭だった。

彼は軽々と身の丈ほどある大斧を振り回して、鬼神達の猛攻を防ぎつつ周囲を見回した。


(何か変だ、一瞬だけ感じた違和感は何だ?
誰だ…。誰かが何かしやがったな?)


目の前に居るのは透と鬼達…だが違う。
風神達の前に居るのは元と沙綺、そして命…しかし奴らは向こうの相手で手一杯だ。
召喚士の小娘は除くならば…。


「…テメーか符術士。」


牛頭は瞳を光らせて御影を見つけると、ガリガリと斧を引きずったまま爆走した!


「牛頭!どこに…!?
…はっ!!御影さん危ない!!」


牛頭の目当てに気付いた透は、必死に後を追いながら叫んだ!

その声に顔を上げた御影は、フラフラと立ち上がって呪符を構えた。


「滅魔結界符…。」


「遅えよっ!くたばれ!!」


まだ牛頭との距離があると考えて術を発動しようとした御影は、牛頭の行動を見て浅はかだったと後悔した。

牛頭は引きずってきた斧を勢いに任せてブンッ!と投げつけたのだ!


風を切り裂きながら巨大な斧が弧を描いて飛来する!
御影は呪符を構えたまま圧倒的威力の斧の前に硬直した!