神楽幻想奇話〜荒神の巻〜

確かに退魔士たるものは高い霊力を有すると共に妖を認知し、見る目が必要である。

それらの能力は素質さえあれば有能な指導者によって延ばす事が出来る。
だが素質があるかどうかを見極めるのは困難であり、主に退魔士の血統に依存することが多い。
しかしながら若くして妖との戦いに敗れ、子を持たぬまま命を落とす退魔士が多く、必然的に廃れる一方であった。


彩音はそんなやりとりを聞きながら、ようやく飲める程度まで冷めたコーヒーに口をつけた。


「…そうね…御館様が亡くなられた影響はかなり大きいわ。
御影さんほど信頼されて腕の立つ術者も居ないし…ん?そっか一人居るわね。」


「ほぅ、忍が認める術者とは誰じゃ?他におるのか?」


元はあごヒゲをさすりながら不思議そうな顔で忍を見た。

そんな元に向かって忍はニヤニヤしながら指を差した。


「師匠よ!師匠がやればいいじゃない。どうせ西の本部は解散してフリーなんでしょ?」


「なんと!!ワシの愛弟子は隠居をするなと言うのか!?
確かに西の本部は退魔士の減少によって解散する他無かったが…。ワシでは白蓮殿の代わりは出来ぬよ。」


元は滅相もないと言った顔で首を横に振った。

その時電話を終えた御影が居間へ戻ってきた。


「今の話は興味がありますね。よければもう一度聞かせて欲しいな。」


御影は忍に微笑みかけながらそう言った。
どうやら本部への連絡は無事に終えたらしい。