よくよく考えればそうなのかもしれない。
そこまで強大な力があるのならば、その危険を認知している者が放っておくはずが無いからだ。
故に代々三種の神器の守護者という者が、存在を隠したまま護り続けてきたのだろう…。

守護者となる者は決して悪用はせず、危機感を持って破壊するなどとは考える事の無い人格者…。
それは白蓮にも、元にも、そしてオマモリサマにも共通している素質だった。


「…これに…そんな力が…。」


忍は急に恐ろしくなって勾玉を元の手にそっと返した。


「ワシは神器の守護者として最後まで護り通すのが定めじゃ…。沙綺が言うように敵に渡すという話に乗るわけにはいかんのじゃ。」


透と元の明確な意志を聞いた幹矢は、両手を上げて降参した。


「確かに安直な提案だったね、透と西の長が言う通りだよ。
僕達は例え勝ち目が無かろうと奴等に立ち向かって神器を取り返すしかないようだ。」


一同は、その困難極まりない道しか残されていないという覚悟を決めて頷き返した。

困った時に助けを求められる神は居ないと知った今、透の心は意外なほどに透き通っていた…。


(失う物は何もない…祈るべき神も居ない…これが俺の存在理由ならば、力尽きるまで抗ってみせるさ。)