神楽幻想奇話〜荒神の巻〜

『封印内・暗闇の部屋』

玄奘の張った限定空間の封印の中、スサノオのみ動けない部屋で、低い笑い声が聞こえてきた…。


「フッフッフッフッ…残るは八坂瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)のみ…。」


椅子に腰をかけ頬杖をついたスサノオは、目の前に浮かんだ二つの神器を見ながら、ニヤリと口の端を持ち上げた。

その向こうには風神雷神・牛頭馬頭が一同に会して彼を見上げていた。


「それで?今の二つがあればこの封印は解けるんだろ?
じゃあ最後はアンタ自ら奪いに行くのかよ?」


風神が腕を組んだ姿勢で顔を傾けながら問いかけた。

彼女達は水島 元達の持つ勾玉の奪取失敗に苦い思いがあった。

亮太の放った水神は遙か彼方まで彼女達を運び、効果が消える頃には忍達が逃げるには十分すぎるほどの時間が経っていた。


スサノオは目を細めて風神の心境を悟ると、ゆったりした物腰で立ち上がった。


「それでも構わん、我が目で愚かなる者を見に行くのも良いだろう。
なに…慌てる事は無い。天岩戸を呼び出す御霊会にも時期的な条件がある。
しばしの余興を楽しむか…。」