神楽幻想奇話〜荒神の巻〜

…時同じくして京都では、今まで居たはずの退魔士達の気配が消えた事に疑問を抱く者が居た。

ボロボロに崩れて見る影もなくなった白蓮の屋敷を見つめていたのは九尾の妖狐、命だった…。

彼女は長い黒髪を風に遊ばせながら、少し曇り始めた空を見上げた。


「何かしら…胸騒ぎが止まらないわ。
…この様子じゃここの神器も彼の手に渡ってしまったようね。」


そう呟いて、急に感じなくなった透達の霊圧は次の神器の元へ向かったのだろうと見当をつけた。

しかし全てを知っている命は、一つでも奪われたら厳しい戦いになる事を見通していた。


(残りの神器は2つ?…もしかすると1つかもしれないわね。)


命は乱れた髪を撫でつけながら沈みゆく夕日に視線を移した。


「傍観しとくつもりだったけど…そうもいかないか。
きっと坊や達は…負けるわね。」


それだけ呟くと、彼女はトンッと地面を蹴って何処かへと去っていった…。