「む…?刹那の奴やられたのか?…チッ!下手打ちやがって!」


鴉天狗は長く伸ばした爪で月読の素早い剣を捌きながら、横目で舞い上がっていく氷のカケラを確認した。


月読は見かけによらず反応が早い鴉天狗に舌を巻きながら、何とか斬り込めないかと打開策を練っていた。


(こやつ…粗暴なフリをしているが隙が無い!直接攻撃を嫌う幹矢がどうやった倒したんだ!?)


月読は後ろに飛び下がると、荒くなった息を整えながら次の手を考え始めた。


「なんでえ、もう疲れたのか猫娘?おまえの飼い主はまだましだったぜ?」


「うるさいわ鳥風情が!」


月読は悔しそうに唇を噛みしめたが方法が考えつかない。
最後に残されたのは自らの存在に反する力…凶祓いの力しかなかった。

しかし外せば力の消耗が激しく、確実に敗北が待っている。

一対一の戦いにおいては読まれやすく、下手には使えないのだ。


月読は鵺と激しく戦う透の姿をちらりと見て、意を決したように霊圧を上げ始めた!