すると沙綺は刹那の瞳を真顔で見つめた後に、フッと小さな笑い声を上げてニヤリと笑った。


「それはどうかな?もう決着はついてるぜ。」


刹那はその言葉の意味が分からずに眉根を寄せた。


「何を言ってる…。」


沙綺はそんな刹那に片手を上げて、あきれたポーズを取りながら説明した。


「氷ってのはな、固けりゃ固いほど…冷えてりゃ冷えてるほど…水をかけりゃ割れるんだよ!」


「な…!?」


その言葉と同時に氷の鏡に大小さまざまな亀裂がビキビキと走りはじめた!


「じゃあな雪女!鏡の中ではかなく散れ!」


「だ…旦那様ぁ…!!」


沙綺が上にあげた指をパチンと鳴らした瞬間、氷の鏡達が粉々に砕け散った!


キラキラと降り注ぐ氷のカケラの中、沙綺はゆっくりと腕を降ろして空を見上げた。


「季節外れのダイヤモンドダストも悪くねえな…。」


沙綺の呟きは風に巻かれて吹き上がっていく、氷のカケラとともに薄れていった。