神楽幻想奇話〜荒神の巻〜

(酒呑童子の力が溢れる…まるで暴れ馬の手綱を握らされた気分だ!)


透は暴れ出そうとする力を上手くコントロールできないまま戦いに挑まなければならなかったのだ。


そうこうしているうちに鵺が目を細めて動き始めた。


「いきますよ…神楽透。」


そう呟いた瞬間、透の視界から鵺の姿が消え去り、強い衝撃と共に見えてる景色が横に流れていった!


首がもげそうな勢いで横に蹴り飛ばされた透は、地面に体を打ち付けながら何が起こったのかわからずにパニック状態になっていた!


(が…は…何だ今のは!?)


揺らぐ視界に頭を振った透が次の瞬間見たものは視界一杯に広がる鵺の拳だった!


強烈な打撃に背をのけぞらせた透の体めがけて鵺は一瞬にして数十発の打撃を打ち込んだ!

肋骨の折れる音と筋肉が軋む音がやけにはっきりと透の耳に入ってきた。


鼻血を出しながら前のめりに倒れ込もうとする透を引き起こした鵺は、細く切れ長な目を冷たく光らせて透に言った。


「これは失礼しました、主役のセリフを聞く前に先走ってしまいましたね…。
さぁ、何か言って下さい。その状態で言えればの話ですが。クックックッ」