透は今までと全く違ったタイプの敵に違和感を感じていた。


(何だ?話し方の割にはやたらと聞かなければならない気分になる…。
抵抗や拒否をしても無駄のような…。)


透は自分の心が弱いせいだと考えて頭を振った。


「神器は渡すわけにはいかない!何者か知らないが奪うつもりなら相手になる。」


沙綺が前に出て戦闘態勢をとった。


その一瞬の殺気に反応したチャイナドレスの女は、体をウズウズさせて歪んだ笑みを浮かべた。


「なぁ牛頭、ヤっちまおうぜ!?あたしゃ限界だよ。ジラされすぎてイっちまいそうだ!」


そう言うが早いかチャイナドレスの女は猫のように身を屈めると、どこからともなく取り出したナイフをペロリと舐めた。


「あ?…おい馬頭!まだ話は終わっちゃいない…って聞いてないよな…ダリィ。」


完全に目の据わった馬頭の様子に牛頭と呼ばれた男は溜息をついた。