主は不安そうな顔で見つめる命に目を向けると、椅子から立ち上がって歩き始めた。


「今からその者達に肉体を与えなければならない。
神界から現世に姿を現すには器が必要だからな。」


「確かに何かしらの依代は必要と聞いた事があるわ…。でもここには何も無いじゃない?」


命は辺りを見回してみたが、主が座っていた椅子以外には何も見つからなかった。

再び主に目を向けた命は両手を前に伸ばした主に冷や汗を流した。


「…良い機会だお前も立ち会っていけ。
我の力を分け与えて依代となす…力の消耗は激しく暫くは動けなくなるが、それだけの価値はある。」


そう言うと差し伸べた両手に一つずつ光の玉が現れた。


主の手から離れた光は主と命の間に来るとピタリと停止した。