前鬼は悔しそうに地面に薙刀を立てると晴明の方へ振り返った。


「一体何者なんでえ?正直言って後鬼と連携でかかっても勝てたかどうか…。」


「わからぬ、それほど本気で襲う目的ではなかったようだが、こんなに早く上級妖怪が現れ始めるとはな。
…よし!この件で腹が決まった!酒呑童子の件が片付き次第、先日考えた陰陽師の増強教育の件を帝にお話しよう。」


晴明はこれから先の人間の繁栄のために、自分の知る陰陽道を後世に残す決意を固めた。


これが後の世に退魔士と名を変える者達が生まれる瞬間だった…。


とは言え千年後では「命」と名乗って気ままに過ごす九尾の妖が、この件に自分が絡んでいたとは今後一切知る事は無かった…。