『櫂、待って!ハルに会いたいんだ。

遠くで見るだけでいい。会えないかな?』

櫂は振り返って俺を見た。

「何言ってんの?もう顔がわれた。

隠れ家もじきやつらにバレる。
ここもそのうちなっ。

会いたい?バカ言うなよ。

もうわかってんだろ?

闇医者のとこだって安全じゃない。
ハルの容態が落ち着いたら
すぐ別のとこに移すから。」

『櫂!!』

もう振り向いてはくれなかった。


櫂の背中は俺を完全に拒絶していた。


立ち尽くしてる俺の肩に手がかかる。

手の方を見ると仁の気の毒そうな目。

「REN、ハルは大丈夫だよ。

今は麻酔で眠ってる。
背中の傷は出血したわりに
そんなに深くなかったから。」


『仁、でも…ハルは血がダメなんだよ。

ハルとしゃべった?

ハルは本当に大丈夫なの?

俺のせいで…俺をかばって……』

「落ち着こうREN。」

俺は仁に背中を押されイスに座らされた。

横に座った峻平が

「RENのせいじゃない。俺にも責任が
ある。」

『ちがう!俺だよ。あいつは俺をねらっ
てた。
こんな格好じゃなかったらハルを傷つけ
ることなんてさせやしなかった。

俺のせいだよ。俺の……』