(敵を知るには近い方がいい―――) そっと窓ガラスに手をあて、目の前にそびえ立つ製薬会社のビルを眺める。 あそこの地下では、今も実験が行われていた。 いつものように出入り口付近に目をやると、その前の通り沿いにやたら浮浪者が目についた。 格差社会・・・そんな言葉があったな。 でも、現実はそんなに甘くない。 今は金が絶対的な権力を握っていた。 そう、この国でさえ…… 「櫂!ちょっと来て!!」 突然バスルームからでっかいハルの声が聞こえてきた。