その手をまた掴める日が
来るとは思ってなかった。

ブワッと我慢していた
涙が溢れる。

櫂の強くて大きくて
優しいその手が大好きで

俺はそのまま櫂の胸に
抱かれていた。


トックントックン――

櫂の心臓の音が聞こえる。

しっかりとしたその音に
安心すると

俺を包む櫂の手がキュッと
きつくなり、片方の手は
俺の頭の後ろにまわる。


櫂・・・?


「よかった無事で・・・」


震えてる・・・


「もうどこにも行くな・・・
俺の側にいろよ・・・」


櫂・・・泣いてる・・・


『ウン・・ウン・・』
と何度も頷く俺の頭を止め
俺の頭にKISSする櫂。


涙は次から次から溢れてきて
俺は涙を拭く事も止めることも
できず、ただそのままにしていた。

櫂は前にそうしてくれた
ように俺の頭を優しく撫でていた。


嬉しい時に涙がでることも
こんなに心地いいことも
初めて知った。