お腹を両腕で抱え込み、
体が自然と前に揺れる。


櫂の赤ちゃん・・・


ゴン・・ゴン――
と目の前のガラスに
何回も頭を打ち付ける。


痛みは何も感じない。


バン――
とガラスをなぐった後

堪え切れない涙が
声と一緒にでていた。

『あぁ~・・・あぁ・・・・・
櫂・・・・うっ・・・・』

俺は妊娠してることも
気づかず、あいつらに易々と
命を渡したことに後悔し・・・

あんな過酷な中で生きていた
強い命を守れなかった自分に
腹を立て、

そして何より
愛する人からもらった
大切な命を失ってしまった
悲しみに、

ただただ涙を流すことしか
出来なかった。



神さま・・・


これが罪のない人を殺してきた

俺への罰ですか?


赦してくれとはいいません。

ただ・・・
あいつらから守って下さい。



俺はどうなってもいいから

助けて・・・



俺みたいな人殺しの
道具にさせないで下さい。


お願いします・・・


まだ形もないあの子を