バスタブからなるべく音がでないようにゆっくり立ち上がり、周りを観察する。


(窓がない。でるとしたらドアから?)

ふと洗面台の上に目がいくと白いバスタオルと着替えらしい洋服が置いてある。


どうやら相手は俺に危害を加える気はないらしい。

もしそうだったらとっくに拘束されてるか、殺されているはずだ。


静かにドアに近づきドアに耳をあてるが外の声は聞こえない。


ドアの鍵を閉め、振り向くとさっきまでまばゆいほど白かった床のタイルが、茶色の水でべちゃべちゃになっていた。


(……俺か。汚ねぇなぁ。)



何の躊躇もなく久々のシャワーを満喫することにしたのは

どうやら相手は俺としゃべる気があるらしいと言うことがわかるから。

もし罠だとしたら?とりあえず今は頭をスッキリさせて、これからのことを考えなければいけない。


そしてあのおっさんは何者なのか?


どうして俺を助けた?