パタ―ン――

「それが今日の最後のテストよ。」
研究員が入ってきて俺の机の前に立つ。

『そう。』
顔も見ずに答えると

「あなたご飯食べてないんですって?」

『まずいから』

うざい・・・

「明日の体力測定もたないわよ。」

だからうざいって・・・

顔を上げそいつの顔を見ると
艶やかな黒髪のストレートボブに
インテリメガネをかけた
白衣を着たその女がいた。

『朱李・・・』

「何で戻ったの?」
成宮と同じことを聞き、 
俺の前にあるイスに座る。

『俺も聞きたかったんだけど
何であの時・・・』

壁にあるミラーに目をやると

「今は誰もいないわ。」
とはめていたメガネを外し
チェーンで首からぶらさげる。

『そう。何で逃がしてくれたの?
あの後・・・バレなかった?』

「バレてたらここにはいないわ(笑)
なぜ逃がしたかは・・・
気まぐれかしらね(笑)」

クスッと笑う彼女は、中国人で
身長が170cmもあり、
スレンダーな綺麗な人だった。

そして施設にいた頃、
唯一しゃべれる大人だった。

『ねぇ・・・あの薬何だったの?』
俺は施設を抜ける前に
薬を持たされていた。
毎日飲むようにと・・・

成分を調べるとブドウ糖と
よく似ていた。

「ずっと飲んでたのね?
あれはあなたにとって必要なものよ。
いずれわかるわっ。」
朱李は大事なことを聞くと
いつも言葉を濁す。

『俺の期限はいつまで?』

「後、長くて3ヶ月ってとこかしら。」
でも本当に欲しい返事は返してくれた。

俺のデータがとり終わるまでの
期間は3ヶ月。

それ以降は頭に銃口を
つきつけても無理ってわけだ。