ことばのスケッチ

「どうだね、徒然なるままにパソコンに向かってるかね」と私が言い、
「共同出版することにしたよ」と彼が応える。
「そうだな、テーマが重過ぎるよ」
「何せ、科学の進歩と共に、人類が滅びるって言うんだから。先行き真っ暗な話だよな」と、彼は少しばかり悲観気味に、声を小さくしていた。
「この前出した作品の返事が来たよ」と私が言い、
「どんな返事が来たんだ?」と彼が応える。
「内容がいくら優れていても、短期間に、かつ、爆発的に売れるものじゃないといけないらしい。同じように共同出版しましょうってさ」
「どんな作品が企画出版に選ばれたんだ?」
「女性のヌード写真集だったよ」
「我々には太刀打ちできないね。漱石や、徒然草やら、ドストエフスキーを語ってるようじゃ。彼らの作品も共同出版になるだろうよ」
「今日はこの辺りで切り上げるか」と時計を見ながら私が言い、立ち上がった。
「ママさん、どうもありがとう」と言って彼が先に出る。私は、精算して後から出る。百円ほどオーバしていた。