ことばのスケッチ

「兼好法師が生きていたころの人だって、そうはいかなかったんだから、兼好法師も言ってるように、『伝えて聞き、学びて知るは、まことの智にあらず』とね」
「そう言えば、アメリカに国際会議に出席したわが政治家が、ある大学で講演をして、実は私の孫もこの大学にお世話になりましてと、大学生を笑わせたことがテレビで放送されたんだけど、マスコミはそのユーモアを称えたんだ」と彼が言い、
「そのニュース見たよ」と私が応える。
「どう思った?」
「ユーモアのはき違いだね。人を笑わせることがユーモアだと思ってるんだから。駄洒落を言って人を笑わせることがね。兼好法師からすりゃ、異様なりけめさ」
「なるほど」
「ユーモアってのは、教養だよ」
「そうだよな、教養のある大学教授が、鼠小僧の話しをすれば説得力があって面白いよな」
「漱石の蛙の目玉や兼好法師の壺を被った稚児のようにね。このユーモアは心の豊かな人じゃないと出てこないね」
「最近の政治家はやたらに格言やら、人の話の受け売りでものを喋るけど、木に竹を接いだような話になっているよね。それこそ異様なりけめだな。徒然草を読ませても到底無理だね」と彼が言う。