ことばのスケッチ

「『何時結婚できるんだね』これも皮肉たっぷりだな」
『さあね』
「漱石もげらげら笑いながら書いたんじゃないかな!こちらの方がよっぽどナンセンスだよな!ナンセンスの上にナンセンスが重なった研究は完成するはずがないし、博士号を取ることもできない。したがって結婚もできないと言う漱石の筋書き!」と私が言う。
「この中には、貧乏書生と金持ちの娘との間の皮肉が込められているね。太宰のカチカチ山もそうだよ」
「どんな所が?」
「ウサギに惚れた狸が泥舟で沈む間際に、『惚れたが悪いか!』って叫びながら沈んでいくんだよ」
「なるほど」
「このカチカチ山は、小さいころ絵本で読んだ記憶がある。いや小学校の教科書だったかな。あのころは大人か学校の先生だったか、良くは覚えていないけど、ウサギは賢い、偉い、立派な方で、狸は悪者って教わったような記憶がある」
「先人はいいことを言ってくれてるよね」
「現代にもちゃんと当てはまるよ。結婚するにも家柄とか、就職するにも履歴書とか、大学教授とか、泥棒と大学教授とはどちらが偉いと思うかね?」
「そうだな、教授がウサギで、泥棒は狸って所かな」と彼が応える。