安くて、量があって、案外料理が美味いこの居酒屋は、先を競って席を取るほどに混雑する。仕事はなるべく早く切り上げるが、時々席が無いことがある。マスターが気を利かせて、常連の二人の席を確保してくれるのである。このようなわけで、隣の客の肩が互いに触れ合ほどに混み合う。酒が入って陽気になると、次第に声が大きくなって、互いの会話が聞えなくなる。この連鎖の関係で、絶頂期には互いに怒鳴り声に近い声を出すようになる。アルファ波が手伝って、互いの脳みそは、隣の話のつぼを掴むことができない。
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