電車は、車内の人を吐出し、そしてホームの人を吸いあげる。これまで座席に座っていた人も、新しい人に入れ替わる。とうとう座れないままに下車駅に着いた。例の親子連れは降りなかった。長時間立っていたので、足腰が硬直状態になっていた。痛い足を先に出し、吊革伝いにゆっくりと歩き、ドアの所にある掴まり棒にやっと掴まり、扉の所にたどり着いた。私が降りる前に、ホームで並んでいた人が、座席を確保するためになだれ込んできた。私は突き飛ばされて転びそうになった。年寄りを労わる心も、身体の不自由な人への哀れみもない。友達との待ち合わせ時間に十分な余裕を持たせていたので、電車から降りた私は、ホームのベンチに腰を降ろし暫く休んだ。私の前を大勢の人が通り過ぎて行く。あの少女のように「おじいちゃんどうしたの?」って、声を掛けてくれる人はいない。
《今ごろの若者は!いけないね。そのような固定観念を持っちゃ》
《今ごろの若者は!いけないね。そのような固定観念を持っちゃ》



