ことばのスケッチ

《体の不自由な人は大変だなぁ。両足で立つことすらできないんだから。健康な人にはごく当たり前の動作だからね。この辛さを解ってもらえなくても当然だよね。両足で立つってことは当たり前なんだからね。目の不自由な人はどんななんだろう。きっと孤独な世界だろうなぁ。若しも私の目が不自由であの少女に出会ったとしたら、手のぬくもりや声の調子で、少女の愛くるしさを感じるしかないものね。いいや、もっと奥深い所を見ることができるかもしれない。だめだめ、よけいな憶測は止めよう。両足で立つというごく当たり前のことができないんだから。憶測は失礼に当たるからね。あの少女のように自然に声が出て、そうしてくれるのは嬉しいが、憶測を働かして同情や哀れみを受けるのはごめんだね。こちらも悪いことをしたなと、思わなければならないからね。あの少女には悪いことをしたとは思わなかったね。本当に心底から嬉しかった。本当に友達のように思えたんだからね》