私は、吊革と痛くないほうの足に体重を乗せて、窓越しに景色を眺めていた。哀れみが出ていないようである。それとなく、座席の方に視線を落とし、席が空くのを期待していた。三歳ぐらいの子供を連れた母親が私の前に座っている。隣には、年配の男性が座っていた。時々、その男性のズボンと私のズボンに、子供の靴が擦れる。その度に男性は苛立たしくその靴を払いのける。その男性を睨むように見て、
「ほらだめじゃないの。おじさんに怒られるわよ。ちゃんと行儀良くして」と、その心は自分の子供の方ではなく、男性の方に向いていた。吊革を移動しようと思ったが、私は擦れないようにそれとなく避けていた。
《そう言えばこんなことがあったね。孫と一緒に電車に乗った時だったなぁ。その電車には空席があったので、ここへ座ればって言ったら、いいんだよ、ぼく立っているからって言ったっけ。あの少女もきっとそうするだろうなぁ》
腰の痛みが激しくなり、電車が揺れるたびに、吊革を引っ張る。我慢できなくなったら、哀れみを乞うかなとも思いながらも平静を装っていた。
「ほらだめじゃないの。おじさんに怒られるわよ。ちゃんと行儀良くして」と、その心は自分の子供の方ではなく、男性の方に向いていた。吊革を移動しようと思ったが、私は擦れないようにそれとなく避けていた。
《そう言えばこんなことがあったね。孫と一緒に電車に乗った時だったなぁ。その電車には空席があったので、ここへ座ればって言ったら、いいんだよ、ぼく立っているからって言ったっけ。あの少女もきっとそうするだろうなぁ》
腰の痛みが激しくなり、電車が揺れるたびに、吊革を引っ張る。我慢できなくなったら、哀れみを乞うかなとも思いながらも平静を装っていた。



