やがて電車はトンネルを出て我に返る。そして、現役時代を思い出した。
《あの頃は、いつも満員電車だったし、吊革を競うのに素早かったし、三つ先の駅で降りる人の顔を覚えていて、その人の前の吊革に掴まったものだ。他の人も同じようにその吊革をねらっていたよなぁ。その吊革を確保できない時は、五つ先の駅で降りる人の顔を覚えていたものだ。それから先の顔は覚えていなかったね。そんな時は座っている人の服装を見て早く降りる人を判断したものだ。そして吊革を幾度も変えたし、時々判断を誤って、これまで掴まっていた吊革の所の人が次の駅で降りて、とうとう自分の下車駅まで立ったこともあったっけ。そんな時は悔しい思いをして、一日中不愉快だったなぁ。男性はスーツにネクタイ、女性は流行りの服装、永年の通勤電車の感もたまにはくるうこともあるさ。そう自分を慰めたものだ》
《あの頃は、いつも満員電車だったし、吊革を競うのに素早かったし、三つ先の駅で降りる人の顔を覚えていて、その人の前の吊革に掴まったものだ。他の人も同じようにその吊革をねらっていたよなぁ。その吊革を確保できない時は、五つ先の駅で降りる人の顔を覚えていたものだ。それから先の顔は覚えていなかったね。そんな時は座っている人の服装を見て早く降りる人を判断したものだ。そして吊革を幾度も変えたし、時々判断を誤って、これまで掴まっていた吊革の所の人が次の駅で降りて、とうとう自分の下車駅まで立ったこともあったっけ。そんな時は悔しい思いをして、一日中不愉快だったなぁ。男性はスーツにネクタイ、女性は流行りの服装、永年の通勤電車の感もたまにはくるうこともあるさ。そう自分を慰めたものだ》



