「ホントに、彩乃と水城くんって・・・なんでもないんだよね?」


窓際の席。

太陽の光をあびて教室に届く乱反射の洪水。

まぶしさに目を細めながら、怜の顔を見上げる。

「修ちゃん?」

ふわりと真っ白なカーテンを揺らして、風が舞い込む。

前髪が舞い上がり、髪が踊る・・・気持ちいいなぁ。

5月の風って、どうして、こんなにも軽やかなんだろう。


「彩乃ぉ~聞いてたぁ!?」

ドンっって、机に手をつく怜。

あわわっ・・・ごめんなさいっっ!・・・上の空でした。はい。

「へへへ^^ごめんね。なに?」

しょうがないな~って、両手を腰に当て仁王立ちしてみせる怜。

そして、大事そうに鞄から取り出す、一通の封筒。

淡い水色の綺麗な封筒は、澄んだ青空みたいで、とっても怜らしかった。


「・・・これ。水城くんに渡してほしいんだ・・・。」


いつもは強気な怜の消え入りそうな小さな声。

その真剣さに、私はさっきの上の空かげんを本当に申し訳なく思った。

ごめんね。


「これって・・・もしかして・・・」

「・・・うん。ラブレター。告る決心した。」


耳まで真っ赤な怜の決意。

うつむいた視線の先の真剣な想い。

封筒を持つ手に、ぎゅっと力がこもったのがわかったよ。


怜が修ちゃんに想いを寄せてることは、なんとなく気が付いてた。

私は、本当に、怜を応援したいって心の底から思ったんだ。

大切な友達。

怜の恋を応援したい。