エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》

三時から四時の一時間は深夜とも、明け方とも言えない時間で私はこの一時間がなぜか嫌いだった。

本当はこの一時間が人も動物も草木も眠る時間だと思う。

だから急変も多いので、ナースが一番神経を使う時間にその夜もナースコールが鳴り響いた。

私が部屋番号と名前を確認するとナント!202号室中条 清彦だった

私は後を後輩のナースに頼むとすぐに202に向かった。

その間、イヤな予感と胸騒ぎが私を襲い、なぜか12年前に友人宅でクリスマスパーティーを楽しんでいる最中に鳴り響いた電話とナースコールが重なっていた。

「どうされましたか?」

私が202の中に入ってみると、中条氏が絶望感漂う暗い目で

「やられた……」

と言った。