望は何度も何度も手紙を読み返していた。

やはりあの火菜からの電話が最初で最後のチャンスだったのかもしれない…。

中条家の告発のデータを一人で抱え込んでどんなに心細かった事か……その心情を思いやるととてもやるせない。

折角、自由の身になれたかと思ったのに我が子の運命はとても険しい道程だ。

しかし弥生の言うとおりまだ救いの道は残されている。

そのペンダントをマスコミに渡せば、中条家のしてきた事が世の人々の知るところとなり、その結果あの子たちは救われるだろう。

しかし同時に私が『代理母』だという事も分かり子供たちにもすべてが分かってしまう。

娘は自分の病気の為に母がそんな事をしたのだと自分を責めたりしないだろうか……。

いつかそうなる日が来ると頭では分かっていたが、本当はこの事は世間には内緒にして墓場まで持って行きたかったのだ。

望は『火菜の命』と『家族』とを天秤にかけている自分に嫌気がさした。

でも私はどうすればいいの……。