エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》

「実は中条の私財というか隠し財産がみつかってないのよ。だからそれも一緒に誰かに託したかもしれないわ。」

「隠し財産はかなりの額ですか?」

「中条が株で儲けたお金だから数千万ぐらいじゃないかしら…。でもそれが火菜たちの手に渡ったらかなりの逃亡資金になるわ。」

「そーですね。そうなったらかなりマズイですね。で収穫と言うのは…?」

美佐子は先程、喫茶室で吉永と話した一部始終を話してやった。

「その女、かなり怪しいですね。和田 梓ですね。早速調べて見ましょう。」

「ええ、お願いね。私は父がかなり憔悴しきっているので今夜は病院に泊まるから…。」

「分かりました。」

黒沢は美佐子を抱き締める代わりに手の甲にキスをした。