火菜自身も電話するのはこれが最初で最後だと思っていた。
その上での覚悟の行動だったのにまた母に突き放された様な気がして9年前あの屋敷に捨てられた時にシンクロして戸惑う火菜だった。
しかし火菜はまた自分の気持ちを押し殺して
「うん。分かった」
と返事をした。
所詮、私たち親子はこうして一定の距離を保ちながら行かなければならないのか…と火菜は絶望しかけたが、あの屋敷からやっと解放されたのだから二度と同じテツは踏まないと強く思い直した。
そして
「でもね。いつか必ずお母さんとその家族たちに会いに行くから待っててね!それと、私いまケータイを持ってるの。番号を教えるから」
と言った。
「……分かった。緊急の時はここにかけるわ。火菜、お母さん待ってるから…。」
電話を切ると、望は再び泣きじゃくった。
ただし、今度は絶望の涙ではなく“希望”とそして娘の“勇気”に対しての称賛の意味の涙だった。
「君は不器用なだけで、本当はとても愛情深いって事、俺よく分かってるから…。」
そう言って妻を抱き締める夫とそれを見守る娘の姿があった。
その上での覚悟の行動だったのにまた母に突き放された様な気がして9年前あの屋敷に捨てられた時にシンクロして戸惑う火菜だった。
しかし火菜はまた自分の気持ちを押し殺して
「うん。分かった」
と返事をした。
所詮、私たち親子はこうして一定の距離を保ちながら行かなければならないのか…と火菜は絶望しかけたが、あの屋敷からやっと解放されたのだから二度と同じテツは踏まないと強く思い直した。
そして
「でもね。いつか必ずお母さんとその家族たちに会いに行くから待っててね!それと、私いまケータイを持ってるの。番号を教えるから」
と言った。
「……分かった。緊急の時はここにかけるわ。火菜、お母さん待ってるから…。」
電話を切ると、望は再び泣きじゃくった。
ただし、今度は絶望の涙ではなく“希望”とそして娘の“勇気”に対しての称賛の意味の涙だった。
「君は不器用なだけで、本当はとても愛情深いって事、俺よく分かってるから…。」
そう言って妻を抱き締める夫とそれを見守る娘の姿があった。


