エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》


「まあ、これは……」

弥生はそれを受け取ると中身を確認して、驚きの声をあげた。

「中条氏が奥様に内緒で貯めていたものです。それを弥生さんと、勇さん、火菜さんで分けるようにとの伝言です。」

「まあーあの人がこんな事を考えていたなんて…。でも、あなたにも残したんじゃないの?まだ手付かずのようだけど……」

「いえ、私はいいんです。あの方は本当にアナタの事を想っていらしたので、その気持ちをアナタに届けたかっただけですから。」

梓はきっぱりと言った。

「でも、これを私に届けるという事は並大抵の事ではなかったハズよ。あなたも美佐子の事は知ってるでしょう?」

「そうよ。あの女は悪魔なんだから…!」

横から望も口を挟んだ。

「はい。本当に怖い人です。 実は中条氏はあの人に殺されたんです。」

梓の告白に車の中の空気が一変に澱んでいった。


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