エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》


運転席に野田、助手席には弥生、弥生の後ろに望が、野田の後ろに梓が座った。

車に乗っても尚、梓はうつむいたままで、肝心な中条からの用事を果たす役目が出来ずにいた。

望には詳しい事情は解らなかったが、梓にとって、この男性が何やら憎悪の対象である事が感じ取れたので、まずは空気を和ませる必要があると考えた。

モチロンそれは、弥生も同じだったので、やはり自分が話すしかないと思っていたら……

梓が口火を切った。

―怒りで我を忘れる前に中条氏との約束を果たさなければ…!

「弥生さんにと、これを中条さんから預かっていましたので……。」

梓は一冊の通帳を弥生に差し出した。


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