そこは一見、何の変哲もない潰れかけのバーのようだった。
店の名前さえ木で出来た看板のようなものに滲んで定かではなかったが、黒沢が扉を押すと
カラン〜 カラン〜
と呼び鈴が音を立て、客の訪れを告げる役目を果たした。
中にいるのは、マスターと覚しきクタびれた老人一人で、生気のない瞳で黒沢と美佐子を見て値踏みした。
老人は黒沢を見て客と認め
「いらっしゃい。中へどうぞ。」
と尚も無機質な応対をした。
「今、ヤツ出てますか?」
黒沢の問い掛けに
「ああ、出てるよ。」
と老人が言う。
良かったという感じで黒沢が奥へと進み深紅のカーテンを開けると、白い壁が広がっていた。
しかしよく見ると一部分が扉になっていて、黒沢が目を凝らしてそれをみつけると軽く押しただけで中へと開き、地下への階段が見えて同時に中の喧騒と凝縮された空気が一気に抜け出してきた。
「まるで異次元に入る気分ね。」
美佐子にしては珍しく躊躇する素振りを見せたので、黒沢は得意気な笑みで
「さあ、入りましょう。」
と美佐子をエスコートした。
店の名前さえ木で出来た看板のようなものに滲んで定かではなかったが、黒沢が扉を押すと
カラン〜 カラン〜
と呼び鈴が音を立て、客の訪れを告げる役目を果たした。
中にいるのは、マスターと覚しきクタびれた老人一人で、生気のない瞳で黒沢と美佐子を見て値踏みした。
老人は黒沢を見て客と認め
「いらっしゃい。中へどうぞ。」
と尚も無機質な応対をした。
「今、ヤツ出てますか?」
黒沢の問い掛けに
「ああ、出てるよ。」
と老人が言う。
良かったという感じで黒沢が奥へと進み深紅のカーテンを開けると、白い壁が広がっていた。
しかしよく見ると一部分が扉になっていて、黒沢が目を凝らしてそれをみつけると軽く押しただけで中へと開き、地下への階段が見えて同時に中の喧騒と凝縮された空気が一気に抜け出してきた。
「まるで異次元に入る気分ね。」
美佐子にしては珍しく躊躇する素振りを見せたので、黒沢は得意気な笑みで
「さあ、入りましょう。」
と美佐子をエスコートした。


