エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》

最初ケータイはコール音が聞こえたが、プツリと切れ繋がらなくなった。

―やはり火菜の身に何かあったのでは……!!

源は居ても立ってもいられずにますます汗をかき続けたが、一度限界点が分かっているので、落ち着く為にも水分を補給する事にした。

そして烏龍茶のペットボトルを一口ずつ飲んで飲み干す頃には残念な事に更に不安要素が増えていた。

(俺がどんなに焦っても、台風で飛行機は飛んでいない。東京にはすぐに戻れないのだ……)

台風が過ぎ去って、それから更に8時間フライトする……なんて日本は遠いんだ!!!

遥かシンガポールの地で今まさに、源は失意のどん底にいた。