エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》

ザーッ――――――――

「……うっ……ぅぅ……」

シャワーを浴びながら火菜は泣いていた。

突然、目の前に現われた亜梨砂は未来をイジメていたグループのリーダーだった。

中学の時にバスケをしていて170cmの長身の亜梨砂は約20cmも差のある小柄な火菜を初見から圧倒した。

何よりも未来に対しての恨みを顕にしていたので、火菜はどう対処していいのか分からずに外に出た。

「どこにいるんだよ!本物の児島未来はよ!!」

「教えられない。でもなんでそこまで執拗に未来さんを追い回すの?」

「そりゃあアイツのせいで色んなもん無くしたからに決まってるだろ。だいたいお前何の為に未来に成り済ましてココにいるんだよ。言わないと全部バラすぞォ〜!」

「♪♪♪♪♪♪〜♪♪」

その時火菜のケータイが鳴った。

火菜は一瞬ためらったが“源”からだったので出ようとした。

するとその時、亜梨砂はケータイを奪いパキンと二つに折ってしまうと投げ捨てるという暴挙に出た。

「何するの!!」

慌てて取りに行こうとした火菜は腕を引かれてぬかるみに足を取られて転倒した。

すると亜梨砂は容赦なくその火菜の上に馬乗りになった。

そこでたまらずに火菜は命に助けを求めたのだ。

「ミコぉ〜!! 助けて!!!」

その声に亜梨砂は人が来る!と思い、火菜の首に下がっている青いペンダントに目をつけて引きちぎるとそれを奪って逃走した。

本当にそれはあっという間の出来事だった。