エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》

命と森が強風に煽られながらも中庭に到達すると、大きな水溜まりの中に火菜があおむけになって倒れていた。

「火菜!大丈夫か!?」

「ヒナちゃん!!」

二人が駆け寄って、命が火菜を起こしてやると

「うっぅうッ…亜梨砂にペンダントを取られた。」

火菜が泣きながらそう言った。

「あの子ね!?命君は火菜ちゃんを中に運んで!私はバス停まで追い掛けてみるから。」

森が機転を利かせてそう言うと、すぐに後を追い掛けて行った。

「センセー。頼んだ!」

命はとにかく、ずぶ濡れで泥にまみれた火菜をなんとしなければと

「火菜、運ぶからね。掴まって!」

命は軽がると火菜を抱えあげたが

「ミコ、待ってケータイが、ケータイが落ちてるハズ。立てるから下ろして。」

二人は叩きつけるように降る雨の中、火菜のケータイを探した。

「あっ!アレじゃないか!?」

命が発見したケータイは見事に真っ二つに折られて水没していた。

「もうダメなの?使えないの?」

「ケータイ本体はもうダメだ。後は中のカードが無事かどうか……とにかく中に入ろう!」