エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》

談話室でも

「それでは、ごゆっくり。」

と言って立ち去ろうとする森を命の母は引き止めた。

「すみません。先生だったんですね。良ければ学校での様子もお聞きしたいのですが…。」

「分かりました。まずは命君とお話しになられて下さい。その後でお話ししましょう。」

「ええ、よろしくお願い致しますね。」

そんなやり取りで５分はかかっただろうか…。

「おい、面会者は私達だけじゃないよ。その辺で先生を解放してあげなさい。」

命の父の助け船でやっと解放されるとさすがに森も最後は苦笑いになった。

―こんな日に他にも面会者がいるんだ…。

命は何やら漠然とした不安を抱えながら、両親の前に腰掛けた。