エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》

ヒューッ―――――


台風は益々、勢力を増して確実に近づいている。

もう暴風域に入ったのだろう。

帰りにはバスは動いていないかもしれない。

命の父が、そう考えていると予想通り、命の母は

「あなたはフリースクールの生徒さん!?」

と先程の少女に声を掛けている。

「いえ、違います。友達に会いに来たんです。」

「まあ!」

命の母は、何もこんな日にわざわざこなくても…。という言葉を飲み込んだ

それを言うならお互い様だからだ。

よほど大事な用があるに違いない。

「それじゃあ三人で固まって行きましょうよ。あなた一人じゃ飛ばされてしまうわ。」

「ありがとうございます。」

三人は丘の上の建物を目指した。