先に目を覚ましたのはサムだった。
勇の目尻に涙の乾いた後を見てとると胸が痛くなるサムだったが、勇の手からこぼれ落ちて下に落下したままのケータイに気付き、慌てて手に取ってみた。
それは今まで何度も悪夢として見ていた現実がそこにあった。
なんとケータイの電源が入っているではないか。
いつからだ……。
ひょっとして勇は台風に恐れをなして誰かに助けを求めたのではないか……。
サムはまだ勇が起きだす気配がないのを確認して、着信履歴と発信履歴を確認した。
しかし、電源こそ入ったものの、まだそれは真新しい状態を保ったままだった。
―どうしよう。どうしよう。
勇が目を覚ましたら、ケータイの異変にすぐ気付き誰かに助けを求めるだろう。
そしたらこんな嵐の中に俺は一人ぽっちかよ。
家も勇も無くして今度こそ俺は正真正銘の世捨て人ではないか。
激しく押し寄せる不安に耐え切れずとうとうサムは再び勇のケータイの息の根を止めて自分の上着のポケットにねじ込んだ。
そうとは知らず勇はすやすやと寝息を立てて睡眠を貪っていた。
勇の目尻に涙の乾いた後を見てとると胸が痛くなるサムだったが、勇の手からこぼれ落ちて下に落下したままのケータイに気付き、慌てて手に取ってみた。
それは今まで何度も悪夢として見ていた現実がそこにあった。
なんとケータイの電源が入っているではないか。
いつからだ……。
ひょっとして勇は台風に恐れをなして誰かに助けを求めたのではないか……。
サムはまだ勇が起きだす気配がないのを確認して、着信履歴と発信履歴を確認した。
しかし、電源こそ入ったものの、まだそれは真新しい状態を保ったままだった。
―どうしよう。どうしよう。
勇が目を覚ましたら、ケータイの異変にすぐ気付き誰かに助けを求めるだろう。
そしたらこんな嵐の中に俺は一人ぽっちかよ。
家も勇も無くして今度こそ俺は正真正銘の世捨て人ではないか。
激しく押し寄せる不安に耐え切れずとうとうサムは再び勇のケータイの息の根を止めて自分の上着のポケットにねじ込んだ。
そうとは知らず勇はすやすやと寝息を立てて睡眠を貪っていた。


